政治・法律

貧民のユートピア─福祉国家の思想史


"なぜ、貧しい人びとを救済しなければならないのか。どこまで救済するのか。
福祉国家は、貧困がもたらす〈屈辱〉をとりのぞくことができたのか。
〈生存〉を保障することと〈尊厳〉をまもることは両立しうるのか。
「ポスト福祉国家」における市民的関係の再構築のために、ロックからベヴァリッジまでの思想をたどりなおす。
金田耕一 著
A5判上製/278頁/本体4,300円
2022.2刊行 ISBN:978-4-86258-142-6


【目次】
序章
第一章 慈愛と労働──ジョン・ロック
Ⅰ すべての人間には慈愛をもとめる権利がある
Ⅱ 勤勉にも、宗教にも道徳にも無縁な人びと
Ⅲ 勤勉かつ敬虔な労働者
第二章 同感と市場──アダム・スミス
Ⅰ 困っているときには他人の援助に頼ってもよい
Ⅱ 労働する貧民は勤勉である
Ⅲ 商業社会は市民的資質を堕落させる
第三章 救貧と規律──ジェレミィ・ベンサム
Ⅰ 怠惰にたいする処罰として死は重すぎる
Ⅱ 休息は身体の健康に有害であり、怠惰であるかぎり道徳にも有害である
Ⅲ 勤労院は社会浄化のシステムとして機能する
第四章 進化と慈善──ハーバート・スペンサー
Ⅰ 生存に不適な人間を救済することは政府の仕事ではない
Ⅱ いかにして利他的感情を促進するか
Ⅲ 劣等者はさらにおおくの劣等者を生む
第五章 効率と福祉──シドニー&ビアトリス・ウェッブの福祉思想
Ⅰ 健康な社会有機体なしに個人は生存できない
Ⅱ 貧困は道徳的マラリアである
Ⅲ 健康で道徳的な市民を生産せよ
第六章 分配とシティズンシップ──ニュー・リベラリズム
Ⅰ 国家の目的は共通善の促進である
Ⅱ 社会はみずから助くる者を助く
Ⅲ 人格の成長に最適な条件を保障する
Ⅳ 「福祉国家」の蹉跌
終章